新技術への大きな期待
遺伝子組み換えといったプロジェクトは、長い目で見れば利潤をあげる可能性が高いので、経営者にとっては魅力的です。
しかし、従来の遺伝学の手法とたいした違いはないので、分子生物学者にとっては、それほど心を引かれるものではありません。
これらのプロジェクトは、通常の増殖技術とプラスミドの特性に関する知識を組み合わせて、自然界に存在しない遺伝子の組み合わせをもった細菌をつくることから始まりました。
プラスミドのこのような利用法は、新しいアプローチ、つまり前章で見てきたようなDNA切り貼り技術を利用して、遠縁の生物のDNAから組換えDNA分子をつくり出すという方向へ向かいました。
1970年、カリフォルニア州サンフランシスコの近郊でシータスという研究会社が産声をあげました。
この会社は、遺伝子r学の技術を用いて学術的な意味をもつ成果(これは、今までのところ同社の唯一の「製品」です)を生み出すのではなく、商業的に価値のある製品を生産する専門企業となるはずでした。
1974年には、やはりサンフランシスコを拠点とするジェネンテックという会社が、新しい技術を金儲けという古い問題に適用すべく、この分野に参入してきました。
それから数年間の状況を示すキイワードは「期待」です。