新技術への大きな期待 7
1978年の中頃、ジェネンテック社は次のような発表を行いました。
『Lacプロモーターを結合したインシュリンの遺伝子をプラスミド・ベクタ走組み込んで、それを大腸菌に入れ、この新遺伝子の指令に従ってヒトインシュリンを産生する細菌をつくり出した』
・・・というのです(同社が使用した遺伝子は、ヒトDNA由来のものではなく、cDNAでした)。
これは、「文法」上の違いにより、大腸菌内でヒトDNA由来の遺伝子は正常に機能しないと考えたためです。
当時、多数の患者の治療に用いていたのは、ヒツジやブタから取り出したインシュリンであったのですが、それさえも高価でした。
しかも、患者の中には、動物由来のインシュリンでは副作用が現れるために、ヒトインシュリンだけが有効な治療手段である者もいます。
医者は、インシュリンの投与を必要とする糖尿病患者全員が使用できる、安価なヒトインシュリンが入手可能になることを切望していました。
1978年にジェネンテック社が提供したのは、このように貴重な宝石であったのです。
その市場規模も並外れたものでした。
英語圏だけでも、200万人もの糖尿病患者がおり、そのうちのかなりの人たちが生きるために毎日インシュリンを注射しなければならないのです。